ケーススタディ:
厳しい条件でも整列した状態を保つ
製紙業界のOEMは、もともと鋼鉄に設計されたADAPT™ベアリングの新しい製品ラインを採用しています
過去10年間にわたり、革新的なティムケンベアリングの製品ラインは、連続鋳造ラインの運用コストを削減できることで、世界の鉄鋼業界を沸かせました。自動調心ローラベアリングの自動調心機能と円筒ベアリングの軸方向の自由度を組み合わせることにより、 ティムケンADAPTは、他の主要ブランドよりも最大3倍の耐久力があることが証明されています。
その成功により、ADAPTは製紙業界など、別の産業部門からの関心を集めるようになりました。これら2つの非常に異なる業界で見られる同じ状況を顧客が克服するために、ADAPTがどのように役立っているか、2人のティムケンの専門家に話を聞きました。

鋳鋼ラインと抄紙機のドライヤーロールの共通点は何ですか?ティムケンADAPTベアリングをますます採用するようになっていることです。
質問:鉄鋼業界はADAPTベアリングをどのように使用していますか?
ロス:ADAPTは、連続鋳造ライン(プラントの、溶鋼が固体鋼スラブになる部分)で使用されています。ベルギーの顧客のある大きな工場には、2本の鋳造ラインがあり、それぞれが数百のベアリングを使用し、24時間年中無休で稼働しています。
これらのベアリングは極端な熱条件にさらされるため、回転しているシャフトが伸縮します。また、低回転速度で高負荷がかかるため、ベアリングに負担がかかります。
溶鋼がキャスターを下って固まると、水を噴霧して冷却します。これらの機器はすべて、常に水、蒸気、酸化物スケールにさらされているため、腐食もよくある問題です。
冷却後、スラブは圧延機を通過し、自動車製造などで使用される非常に薄い鋼板になります。
「私は、サービスエンジニアとして、毎日異なった課題に直面します。お客様の課題に適切なソリューションを見つけることは私の誇りですし、仕事を面白いものにもしています」。
ウベール・ロス、
地域マネージャ、サービスエンジニアリング、コルマール、フランス
「問題を解決するために働いているのは、決して1人の人でも、1つのグループでもありません。顧客との関わりを持つすべての人が、ティムケンが問題を解決できるようにする点で何らかの役割を果たしています」。
トニー・フィエロ、
製品マネージャ、自動調心ローラベアリング、米国オハイオ州
質問:鉄鋼業界はどのような課題に直面しており、ADAPTベアリングがどのように解決に役立ちましたか?
フィエロ:キャスターの操作では、鉄鋼の重量と熱条件のせいで位置がかなりずれるため、軸方向および半径方向の動きが大きくなります。そのような状況に対応するために、固定位置にあるベアリングが、変化する条件に合わせて移動するように浮くようになっているシャフトの反対側にあるベアリングとペアにされます。
ADAPTの登場前には、一部の顧客は第三者が提供するトロイダルベアリングを使用していました。時々、それらのベアリングでは早期の故障が発生しました。腐食または他の条件のため、シャフトに近い内輪の侵食または接着が生じたからです。ベアリングの浮きの動きが抑制されると、交差負荷とベアリングの早期損傷につながります。
組み立て不良のために、早期の損傷が生じることもあります。トロイダルのソリューションでは、顧客は、動作中に熱条件が変化したときベアリングとシャフトがどれだけ動くと予想されるかを、組み立て時に計算しておく必要がありました。これらの測定が適切に行われなかった場合、ベアリングがひずむことになります。
質問:ベアリングの故障の結果として、顧客は多くの稼働停止を経験していましたか?
ロス彼らは回避策を考案し、常に予備のキャスターセグメントを利用できるようにして、いつでも取り付けられるようにしていました。セグメントを引き出して新しいものを入れるのに約30分かかりました。生産が完全に停止することはありませんでしたが、それらのセグメントを分解、交換、確認するため、生産コストが増加しました。
質問:ティムケンのADAPTはこれらの問題をどのように解決しましたか?
フィエロ:ADAPTは、外輪の自動調心ローラベアリングと内輪の円筒ローラベアリングを組み合わせているため、軸方向の変位だけでなく、ずれにも対応できます。
同時に、ティムケンのベアリングは、初期のシャフト膨張計算を必要としないので、はるかに取り付けが簡単です。軸方向の変位に対処するために、内部で転動体の3点接触を維持できるようにする設計上された、円筒形の内輪を使用しています。この設計は、ゆがみを軽減し、横滑りや汚れを防ぐのに役立ちます。
さらに、ADAPTベアリングは既存のハウジング内に収まります。多くの場合、お客様側でADAPTに対応するために潤滑ラインの再配管や交換を行う必要がないので、設置はさらに簡単になります。
質問:ADAPTに移行することで鉄鋼業界が実現した総体的なメリットは何ですか?
ロス:まず第一に、ベアリングの寿命が大幅に延長しました。ある顧客は、以前のトロイダルベアリングは、通常、約70万トンの鉄鋼を製造した後に故障したと言っていました。
一方、私たちは2017年から連続キャスターへADAPT軸受の設置を開始し、2019年までに各ラインで250万トン以上の鋼材が生産されました。そのため、この特定のケースでは、ベアリングの寿命はすでに3倍以上になっています。私たちは、1システムのベアリングで450万トンの生産を達成することを目標としており、達成する可能性が高いと考えています。
また、ベアリングの取り付けがとても簡単なこともお客様に喜ばれています。機器を変更する必要はありません。既存のトロイダルベアリングを取り外してティムケンのベアリングを挿入するだけです。当社の内輪もベアリングから取り外すことができるため、取り付けはさらに簡単になります。
7%
高い定格荷重(最大)
低い動作温度
少ない回転トルク
30%
長い耐用年数
質問:ADAPTベアリング製品ラインは製紙業界にとって何を意味しますか?
ロス:製紙では、特に起動時に急激な温度変化が見られます。ベアリングはそれらの変化に迅速に対応する必要があります。固定側に1つのベアリング、フロート側にアダプターベアリングがあるという点で、製鉄装置のキャスターに似ています。高負荷で、変化が大きく、湿度が高くなることもそうです。
フィエロ:鉄鋼業界での成功の後、ティムケンのアプリケーション、設計、およびサービスエンジニアは、他の市場でもこの技術を活用できないかと検討し始めました。そして製紙業界向けのADAPT製品ラインを開発し、現場でテストを開始しました。製紙業界での稼働期間が最も長いテストベアリングは2年近く動作しており、今も問題なく稼働しています。
内部テストと現場テストから、動作中、これらの変動条件がすべて発生した際でも、ADAPTベアリングは競合製品よりも最大10%低温で動作し、トルクは最大10%少ないことが確認されています。これらの要因は、抄紙機のドライヤーセクションのパフォーマンスと直接的な相関関係があります。
多様な種類とサイズのADAPTを製紙市場に投入したところ、最近、ヨーロッパ、ブラジル、中国に施設を持つ2つの大手OEMメーカーで採用されました。鉄鋼工場のキャスターと同様に、ティムケンのADAPTは、製紙業界でも、他社製品を上回る性能を発揮するでしょう。ADAPTベアリングが運用効率をどのように改善できるかを
Last Updated: 2021/11/19
Published: 2021/05/18